あなたは、お子さんたちの兄弟ゲンカに「やめなさいっ!」「いい加減にしなさいっ!」と絶叫(笑)したことはありませんか?
我が家は11歳娘と7歳息子がいますが、下の子が自己主張できる年齢になると、上の子と対等になりたい気持ちが大きくなってケンカも増えます。さらに、夏休み中などの休暇中は、一緒にいる時間が長いこともあってか、普段以上に兄弟ゲンカが多い気がします。
私にも4つ下に弟がいて、当時よくケンカをしていた記憶があります。「お姉ちゃんなんだから、ガマンしなさい!」と言われて育った自分の経験から、我が家で兄弟ゲンカが起きるたびに「子どもが心理的に満たされていないのではないか」と心配になったり、「親の愛情が足りないのでは…」と自分を責めたりしたこともありました。
でもある時、ちょっと冷静に兄弟ゲンカを観察してみたら、オモシロイことがわかったのです。
今回は、親もついイライラする兄弟ゲンカを、友人関係・学校関係はもちろん、大人になってからも社会で役立つ《学び》に変える方法をお伝えします!
「ワタシのマンガ本を勝手に触った!」「食べたいお菓子を分けてくれない!」「ちょっとだけ青いペンを使いたいのに貸してくれない!」
そもそも、なぜケンカが起きるかというと「自分のお願いを、相手が聞いてくれない」というのが、よくある原因です。
そんなとき、子どもたちに求められるがままに「どっちが正しいのか」ジャッジしていませんか?
実は「どちらが正しいのか」という判断を下すより大切なことがあります。それは、子どもたちに「《当たり前》は人それぞれ違う」と伝えること。
ケンカが起こる理由を「相手が《食べたいお菓子を分けてほしい》という自分のお願いを聞いてくれない!」から、さらに突き詰めていくと、「相手にとって『《お菓子を分けること》は、当たり前のことではない』ということに気づいていない」ことがわかりました。
例えば「これはワタシの本だから誰も触らない」「お菓子はみんなで分け合って食べるべき」「青いペンくらい、一瞬なら貸してくれるはず」というように、「自分の言っていることは正しい」「普通に考えて、みんなこうするべきだ」など、自分が考えていることは《みんなの当たり前》だと思っていることがよくあります。
でも、そこでオススメしたいことは、お子さんに「自分が《当たり前》と思っていることは、誰もがみんな同じように《当たり前》と思っているわけではない」と伝えること。
「家にある本は誰が読んでもいい」「自分のお小遣いで買ったお菓子は自分のもの」「自分も青いペンを持っているなら人に借りずに自分のものを使うべき」
一つの出来事でも、それぞれの言い分を聞くと別の見方がわかるように、主張している本人は自分の意見が正しいと思っていても、相手には「正しいこと」とは見えていないかもしれない。
場合によって、自分のお願いが、当たり前のことには全く思えないどころか、理不尽にさえ伝わることもあります。
兄弟ゲンカが起こった時、子どもたちに「自分の《当たり前》は、相手にとっての《当たり前》とは限らない」ことを、繰り返し伝えてみるといいと思います。
大切なのは「どちらが正しいか」を決めることより、相手と意見をすり合わせて、共通の落とし所を見つけること。例えば「夕食の後ならこの本は読まないから、読んでもいいよ」「このお菓子とそれを交換して欲しい」「このペンは大切なものだから貸してあげられないけれど、こっちの少し細いペンなら使ってもいい」などと相手に伝えさせてみましょう。
そして、最後に「じゃあ、こうしなさい」と親が決めるのではなく、お互いの意見を踏まえた上で「じゃあ、どうするか」を子どもたちに決めさせるのです。
「じゃあ、この本はご飯の後に借りるね」「このお菓子ならいいよ、取り替えよう」「少し細いペンの方を貸してね」など、我が家も、最初は親が横で様子を見たりしていましたが、気づいたら自分たちで交渉するようになりました。
ここまでの流れを整理すると、5つのステップがあります。
- 事の流れを把握するために、両方に「何があったの?」「どうしたの?」と聞く
- 事の発端を起こした方に「どうしたかったの?」「どうして欲しかったの?」と聞く
- 2.を踏まえて相手側に「何が嫌だったの?」「して欲しくなかったことは何?」「どうなれば『まぁいっか』って思えるの?」と聞く
- 2.3.を踏まえて、「じゃあ、どうしたらいいと思う?」と一緒に話し合って考える
- 最後は子どもたちに「こうする!」と決めさせる
このように、兄弟ゲンカへの大人の関わり方は、「どちらが正しいのか」をジャッジする裁判官のような存在ではなく、子ども同士の交渉の間に入って、相手との意見のすり合わせ方をアドバイスする仲介人のような役割がいいと思います。
一般的に、友達、夫婦、仕事仲間など「価値観が一致しないと生きにくい」とよく言われるし、私もそう思っていた時期がありました。価値観が似ている人を見つけると、話がわかってもらえるのでとってもうれしいし、一緒にいてラクだと感じられます。
でも、価値観が似ている人とだって、100%全てが一致するわけではありません。それぞれの人は大切にしていることが違うからこそ、自分の言いたいことを相手に伝えたり、相手の気持ちを教えてもらったりしながら、他者を尊重することを学んでいく。そして身近な兄弟・家族内での交渉の習慣が、外での友達関係や大人との関係、社会に出た時にも大いに役立つと考えられます。
価値観が一致する人を探すだけでなく、自分と価値観が同じでない多くの人に向けて、我慢をしたり、諦めたりするのではなく【交渉する術】を知っておくかどうかで、人生の生きやすさは変わると思っています。
そして私も、目の前で繰り広げられる我が家の兄弟ゲンカに「いい加減にしなさいっ!」と叫ぶ前に、自分自身を冷静にコントロールするための人間修行だと思って(笑)、これからも客観的に子どもたちを観察していきたいと思います。